最終回:組織編|多様な知が交わる組織づくり〜人が生み出す統合の力〜

はじめに:人が拓く、FLOSFIAのイノベーション

本シリーズでは、次世代パワー半導体「α型酸化ガリウム(α-Ga₂O₃)」を軸としたFLOSFIAの挑戦が、いかに多様な技術統合によって成り立っているかをお伝えしてきました。最終回となる今回は、その根幹を支える「組織」と「人の力」に焦点を当てます。

革新は、専門知識を持ち寄るだけでは生まれません。
FLOSFIAでは、さまざまなバックグラウンドを持つ人々が、仮説検証を重ね、構造的に課題を捉え、仕組み化を進めるという基本に忠実な取り組みを積み重ねています。この地道な取り組みこそが、新材料半導体領域でのブレークスルーを実現する原動力となっています。


多様な知を創る仕組み:構造化と検証の組織文化

FLOSFIAは、材料科学、物理、化学、工学、回路設計、知財、経営、法務、ビジネス開発など、通常なら分断されがちな専門領域を、自社・パートナーとの協業を通じて着実に統合させ、発展させてきました。

・材料や成膜技術の課題に対する仮説立案と検証
・デバイス構造やモジュール設計における試作と評価
・信頼性や量産性を見据えたプロセス改善とデータ分析

こうした取り組みが、分野を越えた連携の中で価値を創出するFLOSFIA独自の文化を形づくっています。


OCOTA®経営:知と人を動かす独自のマネジメント手法

FLOSFIAが組織としてこの統合力を発揮するために磨き上げてきたのが、「OCOTA®経営(OKR、Competency、Talent Activation)」です。

・OKR(Objectives and Key Results)
 明確な目標と成果指標を設定し、進捗と学びを全社で共有・加速させます。
・Competency(行動特性)
 協働、構造化、再現性のある実行を重視し、仮説検証を継続的に回す力を育成します。
・Talent Activation(才能活性化)
 一人ひとりの強みや価値観を尊重し、役割と裁量を明確化することで主体性を引き出します。

この仕組みによって、専門領域を越えた協力と挑戦が可能になり、仮説構築から社会実装までをつなぐ“組織の統合力”が生まれています。


三位一体の経営体制:創業精神と技術力の融合

2025年、FLOSFIAは経営体制を刷新いたしました。

・創業者・人羅俊実が会長に就任
・デバイス分野の第一人者・四戸孝が社長として実行力を主導
・素材・デバイス統合の実務を支える中澤達洋が副社長として参画

この体制により、技術と組織、経営と現場がさらに強く結びつき、スピーディかつ着実な技術統合と事業展開を実現していきます。


「半導体エコロジー®」というビジョンが仲間を惹きつける

FLOSFIAが掲げる「半導体エコロジー®」という思想は、単なる技術革新ではありません。
材料、プロセス、利用のすべてで持続可能性を追求するという新しい価値観です。

このビジョンは、社内外の多様な専門家や関係者に共感を生み出し、新たな仲間との出会いと協働を促進しています。


共に未来を創るすべての人へ

FLOSFIAの挑戦は、株主、パートナー企業、国プロ関係者、そして入社を目指す多くの方々に支えられてきました。
技術革新のその先――社会と人の未来に貢献したいという想いが、いまFLOSFIAというフィールドで実を結びつつあります。


本連載を通じて、FLOSFIAの挑戦と進化、そして人と知の統合の力をお伝えできたことを嬉しく思います。
私たちはこれからも、新材料パワー半導体というフロンティアで、統合の力を最大限に活かし、社会価値の創出に取り組み続けます。