第4回:モジュール・システム編|顧客ニーズを形にする、パワーモジュール技術の進化

はじめに:デバイス単体から「実際に使える価値」へ

これまでFLOSFIAは、材料開発からデバイス、製品化までを一貫して進めてきました。
しかし、パワー半導体が本当に社会で使われるためには、単体のデバイスをさらに「モジュール」や「システム」として最適な形でお客様・社会に届けるところまで技術統合を進める必要があります。 実用現場での安全性、信頼性、利便性、生産性…。顧客の声と現場の現実、それらを形にする「パワーモジュール」というラストワンマイルの革新に、FLOSFIAは多様なパートナーと力を合わせて挑んでいます。


顧客の使いやすさを決定づけるのは「モジュール技術」

高性能なパワーデバイスができても、多くの顧客にとっては「どれだけ効率的に、簡単に、システムに組み込めるか」が決定的な価値となります。
半導体デバイス単体は、回路設計、ノイズ対策や放熱設計、高速動作時のインダクタンス低減など、実際のモジュール化技術が成否のカギを握ります。

【FLOSFIAのモジュール技術へのアプローチ】
・顧客が求める小型化・薄型化への対応
・高速スイッチング下でのノイズ・ロス極小化
・柔軟なカスタマイズと高い量産性の両立
・システムレベルでの安全性・フェイルオペレーション(冗長化・自動切替等)対応


共創による開発:パートナーとともに築く革新の場

FLOSFIAは決して大きな組織ではありません。その分、柔軟なパートナーシップと現場主導の迅速な意思決定を活かし、モジュール開発において価値ある共創の場を築いています。

・モジュールの設計・製造・評価において、回路設計・熱設計・パッケージ技術など多様な分野の外部企業と連携
・それぞれの専門性がFLOSFIAの持つ酸化ガリウムデバイスの特性を最大限引き出すために結集し、技術的ブレークスルーを共有

こうした共創の場が、単なるアウトソーシングではなく、FLOSFIAの開発に直接的なフィードバックと進化をもたらす技術連関の核となっています。
この連携の中心にあるのが、FLOSFIAのモジュールプラットフォーム構想です。


独自「埋込モジュール構造」で実現する、未体験の小型・高効率

FLOSFIAのパワーモジュール技術進化の象徴が、独自の「埋込モジュール構造」です。

【主な特徴と革新性】
・超小型・薄型化:モジュール体積で従来比「1/100」レベルの驚愕の小型化を実現(同一スイッチング耐圧・電流クラス比較)
・高周波駆動に最適な低インダクタンス設計:パターン・構造レイアウト最適化により、高速スイッチングでも電流波形乱れを最小化
・高いカスタマイズ性とモジュールフットプリント自由度:モジュールプラットフォームの基盤を作り、顧客仕様毎に対応
・熱設計・放熱優位性:発熱源と放熱経路をダイレクトに最適化し、高出力条件下でも温度上昇を大幅抑制
・実装・回路統合のしやすさ:小型サイズでも端子配置やパッケージ構成のカスタマイズを柔軟にサポート


プラットフォーム構想で開く新たな連携の時代

FLOSFIAは「モジュールプラットフォーム構想」を掲げ、単なる製品提供にとどまらず設計段階から顧客とパートナー・協業できる仕組みづくりを進めています。

・顧客の回路設計やシステム要件に合わせて直接仕様を決定できるUIの開発
・設計・製造・検査のあらゆるステージで外部パートナーと連携し、幅広い産業の要望に応えるモジュールシリーズ化
・生産現場と設計・開発現場がリアルタイムで情報を共有できる「システムインテグレーション」の仕組み作り


システム目線での統合力が価値を生む

モジュールは単なる箱詰めではありません。回路動作・電源システム、ノイズ耐性、放熱、信頼性…。デバイス技術、回路設計、パッケージ技術、熱工学、制御工学、EMC(電磁両立性)、生産技術―― これらすべてを顧客の現場・社会実装の要求で統合していく。
その実践を支えるのが、FLOSFIAとパートナーとの密な連携です。


市場展開と今後の戦略

FLOSFIAはこの独自構造パワーモジュールを、中耐圧の民生市場から商用展開し、将来的にはパワーデバイスの「置き換え需要」と「新規需要」両面での世界標準化を目指しています。

・量産開始段階では家電、産業機器、EV・充電器市場からスタート
・顧客からの要望をフィードバックし、製品群の拡充とプラットフォーム強化
・モジュールという形を超え、アプリケーション全体での脱炭素・高効率ニーズに最高の解答を


まとめ:「共創モジュール」が、社会価値を最大化する

FLOSFIAはパワーモジュール技術を核に、「使える・役立つ・求められる」製品づくりを、パートナーとともに進めています。デバイスからモジュール、モジュールからシステムへ――顧客・社会の目線ですべてを統合し、現場ニーズをダイレクトに実現していく共創体制こそ、FLOSFIAの最大の価値の一つです。

選ばれるパワー半導体の新しい時代がいま、始まっています。


次回は「事業戦略編」として、知財やパートナーシップ、競争優位づくりに向けたFLOSFIAの統合型ビジネスモデルをご紹介します。
どうぞご期待ください!