世界初、アンペア級・1700V耐圧級のコランダム型酸化ガリウムSBD開発に成功!

このたび、FLOSFIAは、当社独自のミストドライ®法で作製した高品質膜を用いて、アンペア級・1700V耐圧のGaO®SBDの開発に世界で初めて成功いたしました。
本開発の成果により、パワーエレクトロニクスの高性能化に加えて、電気自動車(EV)や電力システム等の大幅な省エネ・小型化への貢献が期待されます。酸化ガリウムの強みである大電流・大電圧、低オン抵抗を最大限に引き出したGaO®パワー半導体の実用化により当社が目指す半導体エコロジー®の実現に向けて大きな前進を果たせると考えています。
今回の研究成果の一部は、三菱重工業株式会社等と進めている防衛装備庁 安全保障技術研究推進制度(JP004596)による支援を受けて実施されました。

■FLOSFIAプレスリリース(PDF)はこちら

【本研究開発のポイント】
FLOSFIAは、半導体により引き起こされる3つの環境負荷(エネルギー、プロセス、マテリアル)の低減を「半導体エコロジー®」と名付け、最終目標としています。そして、その取り組みとして、京都大学発の新しいパワー半導体材料である「酸化ガリウム(Ga2O3)」の普及を目指しています。この半導体エコロジー®を実現するためには、圧倒的な材料ポテンシャルを有する酸化ガリウムの物性値を最大限引き出すことにより酸化ガリウムでしか到達できない省エネ性能を達成することが効果的で、FLOSFIAでは、脱炭素社会・電動化のキーデバイスとして不可欠な超低損失・超高耐圧・大電流型のGaO®パワー半導体の実用化が欠かせないと考えていました。(図1)。

 図1:他の半導体材料とα-Ga2O3の位置づけ

【今後の展開】
これまでにFLOSFIAでは、ショットキーバリアダイオード(SBD)の実証試作を通じて、世界トップデータとなる特性オン抵抗値の実現(市販SiCより86%のオン抵抗低減)や600V耐圧・1200V耐圧SBDサンプル出荷、京都大学桂キャンパス近郊(京都市西京区)のマザー工場整備など世界に先駆けて酸化ガリウムパワー半導体の実用化を進めてきました。FLOSFIAのコランダム型酸化ガリウム(α-Ga2O3)の期待領域は極めて 広く、民生・EV等で期待される小・中容量から電力系統連携機器などの超大容量に及びます。今回の研究成果であるアンペア級1700V耐圧のGaO®SBDはFLOSFIAの「GaO®」シリーズの将来デバイスとして展開予定です。酸化ガリウムの強みとして1kA級20kV耐圧などの超高耐圧・大電流型パワー半導体を実現し、省電力で小型の電動航空機やその他移動体のインバータや電力変換装置への応用を目指すとともに、GaO®パワーデバイスの採用により、「電力変換器全体の小型化や低コスト化の限界」の突破を実現してまいります。

【本研究成果の詳細】
FLOSFIA独自のミストドライ®法により作製した厚膜で高品質なコランダム型酸化ガリウム(α-Ga2O3)薄膜を用いて、電極サイズは0.96mm、縦型構造としました。プロセスや終端構造等の最適化を行い、アンペア動作・1700V耐圧を確認いたしました(図2、図3)。

 図2:本成果に用いたSBDの断面構造図、顕微鏡写真

 図3:本成果に用いたSBDの順方向特性・逆方向特性

【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社FLOSFIA コーポレートサポート部(担当:間嶋)
Email:info(アット)flosfia.com

※「GaO®」・「ミストドライ®」・「半導体エコロジー®」はFLOSFIAの登録商標です。