【プレスリリース】ミストCVD法で均質な膜が大面積にわたり作製できる理由が明らかに!?

共同研究先の東京大学・甘蔗准教授は、高精度カメラでマイクロサイズのミスト(液滴)を高温加熱した際の挙動を撮影することに、世界で初めて成功しました。

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本発表によると、マイクロサイズのミストは、加熱部に近づくと急に跳ね上がる(ホッピングする)ことが明らかになりました。
この跳ね上がり現象のために、ミストは遠くまで、液体のままの状態、低温で守られた状態で、運ばれていると考えられます。(まるで三段跳びのように) 
これまで、ミストCVD法で「なぜ大面積の均質な膜が実現できるのか」は、解明されていませんでした。しかし、本現象はこれを初めて明らかにするものであると考えられます。その解釈を以下に記載します。

<通常のCVD法の場合>
ガス原料であれば加熱されると、すぐに熱くなり、化学反応が即座に進行してしまいます。それに伴い原料はどんどん薄くなり、膜は不均一になってしまいます。通常のCVD反応ではガス原料を用いるので、大面積にわたり均質な膜を実現するのは困難です。

<ミストCVD法の場合>
まず、ミストは、跳ね上がった状態のとき~加熱部から遠いとき~は温度上昇が起こりにくいため、ゆっくり加熱されることになり、少しずつガスになります。ミスト状態でいるときは、温度が低いため化学反応は進行しませんので、化学反応は長時間にわたり持続して均質な膜ができます。<第一の要因>。
しかも好都合なことに、このミストは跳ね上がる(ホッピングする)ことで、運動エネルギーを手に入れます。一層広い面積にわたり飛び散っていき、化学反応を引き起こすものと考えられます<第二の要因>。

本研究開発は、NEDOの委託事業「エネルギー・環境新技術先導プログラム/高品質/高均質薄膜を実現する非真空成膜プロセスの研究開発」により実施いたしました。

※上記記述は、100℃以下では化学反応が生じない、吸熱反応を前提としています。